スフィアの羽根を聴きながら。ルヴァン決勝翌日に思う事。

    アディショナルタイム2分。
    セレッソ大阪ソウザのゴールが決まった時、指定席の後方で見ていた私から見て、ソンリョンはうなだれ、中村憲剛の顔つきは虚ろであった。

    泣き崩れた女性のサポーター


    その時、それまで大きな声で声援していた私の隣の女性が、突然大声で泣きだした。
    ぼんやりしていた私も、その泣き声で、残り2分で2点のビハインドを跳ね返さなければならない現実を思い知らされたのだ。

    スタジアム全体の雰囲気も、もはや川崎劇場を起こせる雰囲気ではない。
    等々力競技場で見られる最後まで諦めないという一体感を、何故かこの時は感じることが出来なかった。

    憲剛は、力ない手で他の選手へラインを上げるように指示をしている。
    同時に隣の女性も、再び声を振り絞りチャントを歌い始めた。

    試合終了の笛が吹かれ、ほどなくしてこの女性はタオルで顔を隠しながら席を立った。
    なぐさめの言葉も無い。サポーターそれぞれに思いがあるのだろうから。

    この女性の涙と、その後、涙を堪えながら再び声援を始めた事が全てなんだと思った。
    泣いて良い。でもまた声援するだけなんだと。

    サポーターであるならば、何度でも乗り切らなければならない試練

    試合終了後、当然のことながら、多くのフロンターレポーターはSNSで心境をコメントする。
    励ましであったり、悲嘆にくれたものであったり、中にも罵詈雑言というものもある。
    関係の無い(他サポーター)のトイレの落書きのような品位の無いコメントを見ることもある。
    人間だから、こんな時は平常心でいられない事もあるだろうし、人それぞれのスタイルで悲しめばよい。

    幸いにもリーグ戦再開まで少し日数もある。
    選手たちもOFFとなり、それぞれの形でこれを乗り切ってくれることだろう。

    そして僕らもまた、応援を続けるだけなのだ。

    今日のたった1日の悲しみよりも、ここまで多くの感動や喜びをサポーターに与えたくれたフロンターレの選手・監督・コーチ、そしてスタッフ。
    まったくありがたいじゃないか。
    これからも、フロンターレから僕らは多くの喜びを得ることとなるだろう。もちろん時には悲しみを味わう事もある。
    それらすべてを含めてフロンターレなのだ。

    「まだ上へ
    僕はまだ終わってない、そうだろ?」
    スフィアの羽根より

    今頃、憲剛もこの歌を聴きながら、唇をかみしめて空を見ているかもしれない。

    7度目の準優勝という結果を受けて、試合終了後、中村憲剛は、こうコメントをしている。

    「今回みたいなケースも初めてで…。どれだけ積んでいかないといけないのかというのが正直ある」」
    「今日の負けで終わったわけでないし、ここまでやってきたことがなくなるわけでない。ここからどれだけ切り替えられるか。」
    中村憲剛

    全てを中心選手として経験してきたミスターフロンターレ、中村憲剛。
    フロンターレを愛し、14番のユニフォームを着る私でも、その心中を察するには余りある。

    選手たちが、ここを乗り切り、真の勝者となるには、僕らも乗り切らなくてはならない。
    と同時に、優勝を争うものだけが、味わう事の出来る困難であることも忘れてはならない。
    いつか来る優勝する日までは、何度でも何度でも諦めずにこの悲しみを乗り切ろう。

    決勝進出は悪い事ばかりではない


    イベント好きのフロンターレ。当然ルヴァン決勝に向けてもいろいろな企画を考えてくれました。
    それがフラグだとか、選手にプレッシャーを与えるとかという意見があるのも事実ではありますが、
    そういうのを楽しんで勝利を掴めるクラブになって欲しいと思います。

    実際、私を含め、多くのサポーターがこの決勝までの日を、どれだけワクワクして過ごしたことか。
    そんな経験、フロンターレのサポーターしか味わうことができないと思っています。

    昨日は、フロンターレが優勝したら、夜に等々力競技場で優勝報告会をやる予定だったそうです。
    そこでも色々な準備をしていてくれたことでしょう。

    ツアーバスで行った私は、帰り、バスが等々力に直行するのを楽しみにしていました。
    また次。きっと等々力競技場で選手やスタッフ、そして我々サポーター同士で喜びを爆発させる事が出来る日を夢見て残りの3試合を応援しようと思っています。

    この決勝の日、フロンターレの陸前高田でのイベントに参加したスタッフ。埼スタに参加したスタッフ。
    等々力競技場で準備をしてくれたスタッフ。他の場所で仕事をしていたスタッフ。
    そして、これまで様々な工夫でサポーターを楽しませてくれたフロンターレのスタッフに心から感謝を伝えたいと思います。
    これからもよろしくお願いします。

    スフィアの羽根

    中村憲剛と十年来の友人であるスキマスイッチ(常田真太郎)が憲剛の為に書いた曲。
    中村憲剛は、この曲に何度も救われたと語る。

    輝く空の青を丸めた背中に纏い
    まだ上へ 僕はまだ始まってない
    スタートだろ?
    ARVE Error: Mode: lazyload not available (ARVE Pro not active?), switching to normal mode

    Amazon:スフィアの羽根

    • コメント: 3

    高揚感に浸るルヴァンカップ決勝前夜に思う事

    応援とブーイングを科学的に考えてみる

    コメント

      • 匿名
      • 2018年 5月 26日 12:57am

      「勝ってもいないのにバラジコラソン?」とありますが、あのチャントの歌詞はざっくり、「さぁ気持ち込めて行こう!チャンピオンになろう!」という内容です。カップ戦の決勝戦の試合前であれば、まさにチャントを歌うタイミングです。
      批判する内容を含むコメントに関しては、せめて最低限の知識を持った上でコメントしてほしいものですね。

      • 匿名
      • 2017年 11月 06日 5:03pm

      悲しい。悔しいよー。でも前を向いて応援していきます(涙)

      • 匿名
      • 2017年 11月 05日 6:16pm

      昨日はお疲れ様でした。

      私も現地に行っていましたが、残念な結果でしたね。
      セレッソサポーターが盛り上がっているスタジアムの声を背にして浦和美園の駅に向かう時間が
      とても悲しかったです。

      さてやはりチームもサポも浮かれすぎです。
      結果でてないのに懲りずにまた「青覇テープ」?、試合始まる前に勝ってもいないのに「バラジコラソン」?

      他の掲示板で天皇杯の「賀正」コレオをみて「勝ったと思った」とか「こんな奴らに負けられない」という
      鹿島サポの声がありましたが、楽しむのは終わってからにしましょうよ。

      私も14番のユニを着ていますが、現実問題として憲剛がいる間は優勝できないでしょうね。
      本人は毎回決勝では全く本来の力を出せていないし、「憲剛さんのために」と他の選手が勝手に
      プレッシャーを感じていると思います。
      選手が「俺自身のためにタイトルを取る!」という選手たちになればまた違うでしょうね。

      鬼木さんが監督の間はこの手のビッグゲームをものにできないと思います。
      昨日の交代もなぜ憲剛→阿部ちゃんではなく、ネット→阿部ちゃんかと思ったのですが、
      鬼木さんが「試合終了のピッチに憲剛を立たせていたい」と思ったのではと邪推してしまいます。
      もちろん「ゴールとって延長」まで考えたら憲剛は外せないと思ったのかもですが。

      本来の力を出せない原因を突き詰めないと絶対に優勝は無理だと思いました。
      ラグビーの日本代表でメンタルトレーナーの方が活躍されたという話も聞きましたが、
      正直それくらいのスタッフを加えることを考えないとフロンターレはビッグマッチをものにできないと
      思います。

      タイトルもかからない試合をただ消化するチームより、何百倍も何千倍も楽しい時間を
      もらっているのですが、はやり選手もプロである以上応援に応える結果を出してほしいと
      思います。
      1年で2度も決勝負けを経験したくないです・・・。

      サポも「ブーイング=悪」、「ブーイングで選手が強くなるわけではない」を改めないと・・・。
      昨日のあの試合を見せられて私はフロンターレコールはできませんでした・・・。
      ブーイングする気力もなかったですけどね・・・。
      「今日の試合はダメだった」と選手に伝えることも大事だと思います。

      とは言えこんなに勝負弱いチームを好きになってしまったからには仕方ありません(笑)
      鹿島が勝ったようなのでリーグも厳しいですが、ガンバ戦はもちろん等々力に行きます。

      長文、半分以上愚痴のコメント失礼しました。
      等々力ですれ違っているかもしれませんが、またフロンターレを応援していきましょう。

    1. 2017年 11月 06日

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