フロンターレ3つ目の星は漢の星 ルヴァンで見せた新井章太の男気

 

漢というのは、最近ネット等でよく見かける文字であるが、「男の中の男」的な意味だそうな。

私の年代でいえば、男一匹ガキ大将の戸川万吉や、あしたのジョーの矢吹丈のような存在だろうか。
黒澤明監督の映画に出てくる三船敏郎のような存在か、はたまた車寅次郎も漢と言えるのだろう。(全部古っ)

そして川崎フロンターレの漢(おとこ)と言えば新井章太。何せ私が漢という言い方を覚えたのも、SNSで新井章太を漢と称した投稿をみかけるようになったのがきっかけなのだから、
フロンターレサポーターならば誰もが新井章太=漢というイメージが植え付けられているのでしょう。

今年、川崎フロンターレは念願のルヴァンカップ優勝をコンサドーレ札幌との決勝戦に勝ち、成し遂げた。
実にナビスコカップ時代から数え、5回めの決勝戦で得た優勝だった。(5回めの決勝進出というのも凄いけど)

そんな喜びも束の間。リーグ3連覇を逃した後、新井章太のジェフユナイテッド千葉への移籍発表があった。
彼の移籍を予想だにしていなかったので、正直驚きと共に、今頃になって寂しさがふつふつと沸いてきている。

川崎フロンターレにとって3つ目のタイトルとなったルヴァンカップ優勝は、紛れもなく新井章太が漢気ひとつでもぎ取ったといっても過言ではないだろう。
そして、ユニフォームのエンブレムの上に来季付く、3つ目の星を見る度に、僕らは新井章太を思い出すんだ。

このブログでは、新井章太を忘れない為に(絶対忘れないけど)ルヴァン決勝の日を振り返りながら記しておこうと思う。
いつものことながらテクニカル的な事は一切書いておらず、ダラダラとした長い文章なのであしからず。

フロンターレ3つ目の星は漢の星 ルヴァンで見せた新井章太の男気

いざルヴァン決勝へ

基本ホームでの観戦しかしない私。
アウェイは行ったとしても味スタと日産だけなのだけど、カップ戦決勝となると行かないわけには行かない。
2年前と同様、私はバスツアーで行ったのですが、あの時はイッツコムpresents応援ツアーで東急さん協賛でした。
ビンゴ以外にもお土産にタオルをもらったり、添乗員さんもフロンターレのスタッフなので、行きはとても和気あいあいと楽しかったです。
「優勝したら祝勝会の為、等々力に直行します」みたいな事を聞いて、ドキドキしたのを思い出します。
帰りはご存知の通り、無言で皆が眠りこけた状態でした。まさにお通夜状態とはあのこと。

今年のバスツアーはJTBのバスツアーなので、ビンゴ大会はいつもどおりあったものの、比較的静かな旅でした。
優勝が決まっても添乗員さんはフロンターレのスタッフではないのでテンション低めでした。無理もないか。
バスは降車地点の溝の口や小杉を経由して祝勝会へ向かったのです。
埼スタは、やっぱりバスツアーが楽です。値段は安いとはいえませんが、これが定番になりつつあり、近い将来またカップ戦の決勝はバスツアーでと思っているのです。

さて、埼スタにつくと、やはり優勝決定戦独特の雰囲気があります。
テレビカメラも多く来ているし、スタグルも凄い行列。スタジアム外の各ブースには芸能人やJリーグお馴染みの顔ぶれが見えます。
試合前だって、ピッチ外にフジテレビのアナウンサーがいたり、コレオが綺麗だったり見ている側からすれば浮足立ってしまいます。
この高揚感はカップ戦ならではのもの。

しかも2017年とは違い、緊張感はそれほどありませんでした。しっかり楽しめました。
今年はフジゼロックス、チェルシーFC戦など、一発勝負を物にしてきただけに、負ける気はありませんでした。

華やかなセレモニーや国歌斉唱(山崎 育三郎さん)の後、いよいよキックオフです。

先制点は開始10分札幌、菅大輝が奪う

前半10分という時間帯での先制点を許すというのは痛い。痛すぎた。
少し2017年の開始直後の失点を思い出しそうになったが、谷口彰悟のクリアはミスだったかもしれないが、菅大輝のシュートは素晴らしかったから仕方がない。
札幌には個で打開する力のある選手が多いのだ。
その後、フロンターレは決定機が何度かあるものの得点に至らず前半もアディショナルタイムに突入。
脇坂のCKから胸で落としたボールをゴールネットに蹴り込んだのは我らが阿部ちゃんこと阿部浩之。


素晴らしい。

2017年リーグ優勝記念DVDで初優勝が決まった最終節の先制点を大島僚太が振り返り
「やっぱり阿部ちゃんって分かっているんですよね」と言っていたが。その通り、どのようにゲームを進めていけばいいか分かっている優勝請負人。
それが阿部ちゃんなのだ。
そういえば結婚おめでとう阿部ちゃん!

悪夢のアヴァンテと握りしめた青覇テープ

試合は1-1のまま膠着状態。
時間は88分。73分にダミアンに代わった小林悠が貴重な貴重な勝ち越しゴール。
これで勝負あったかに見えた。
90分が過ぎ、アディショナルタイムは5分。
埼スタのフロンターレサポーターは、誰もがこのまま終わってくれと祈ったことだろう。
時間は95分。札幌のCKは恐らくラストプレーだ。

フロンターレ側、南側のゴール裏からはアヴァンテがこだました。
私も当然「ラララララララーラー♫」と歌いながら青覇テープを握りしめた。
私が座っている座席の廻りのサポーターも同じようにしていた。
福森(いい選手だ)の蹴ったボールは深井のヘッドから無情にも新井章太と逆の方のネットを刺した。
大歓声の埼スタ。もちろん北側の札幌サポーター達だ。
テレビを見ているサッカーファンは絶対面白い展開だなこりゃなんて事は考えるゆとりもなく、延長線へと入っていった。

当然私の右手に握りしめられていた青覇テープは、すこし手汗でしっとりしたままカバンの中に戻っていった。

延長でも決着つかず


試合は前半15分・後半15分の延長線へ。
どちらのサポーターでもなければ、チケット代が安いと思える面白い展開だ。
だが延長前半にアクシデントが。
チャナティップをブロックした谷口彰悟がイエローの判定の後、VR判定でレッドカード一発退場に。

ルヴァン決勝 どこまでもイケメンだった谷口彰悟のファール


Jリーグジャッジリプレイ 谷口のレッドについて説明がある面白い回。

このジャッジリプレイを見ると、VRの審判達はちょっと主審に対して高圧的じゃない? などと思ったが、これは致し方ない。
ドグソっていうやつ。まさにクソッって感じだけど、VRについては来年も色々学ばなくてはならないことが沢山ありそう。

谷口退場の後、フリーキックを福森に決められてしまう。ああああ凄いゴールだ。。
この試合、まさに福森が古巣に牙を剥いた試合だったのです。凄いぞ福森!

この時点で埼スタは札幌ムードに。やばいぞこれは、というのが私の心境。

しかし延長後半の109分、CKから小林悠の、まさにエースの底力を見せつけたこの日2得点目となる同点ゴール。
これで試合は振り出しに。まさにシーソーゲームとはこの事。赤いサポーターが湧けば、青いサポーターが吠える。そんな試合展開です。

決着はPK戦へ

PK戦に入った。記憶が正しければ2016年の天皇杯、浦和レッズ戦以来だろうか。あの試合も熱かった。あれはベストゲームとして忘れられない。

PKゴールはフロンターレ側だ。これも2016年と同じ展開。行けるぞ。ツキがある!そう思っていた。

互いにゴールを決めて行き、最初に失敗したのは4番手の車屋先生。
蹴った直後に車屋紳太郎の血の気が引いていくのがスタンドからでもよく分かった。

PKは全体を合わせた確率論だから、誰かのせいという問題ではない。心配するな紳太郎。
そんな気持ちで次を待ったが札幌の4番手ルーカス フェルナンデスは見事にゴール成功。

フロンターレの5番手家長がPKを決める。家長も外せば終わりなだけに相当なプレッシャーだっただろう。
家長はゴール裏を見つめると珍しく片手でスタンドを煽った。

よしっ!まだ終わりじゃない。
そう思い、埼スタ南側は新井コールで染まった。

札幌の5番手は石川 直樹。これを決められれば札幌の優勝が決まる。

祈るフロンターレサポーター。鳴り響く新井コール。

左足で蹴った石川のボールは新井の右へ。
落ち着いて完璧なセーブした新井章太。

あれ?新井章太が何か違う!?

そう思ったと同時に負ける気配は、少しもありませんでした。

札幌のGK ク ソンユンとハイタッチをして再び自分の番まで同じルーティンで待つ新井章太。
誰の目にも新井章太がゾーンに入った状態に見えたはずですね。

6番手長谷川 竜也が決め、ゆっくりゴールに向かう新井章太。もはやこの世の神というかオーラ出まくりだったのです。


そして札幌の6番手、少し嫌な間をおいた進藤が蹴ったボールはゴールネット左側へ。
ジャストなタイミングで動いた新井章太は、見事体の中心でボールをキャッチ。



この瞬間、静寂から大歓声に包まれた埼スタは、フロンターレのカップ戦初優勝への祝福と変わったのでした。

おそらくこの時点で新井章太の移籍への気持ちは固まっていたと思う。そんな中、川崎フロンターレに新井章太あり!と魅せた彼のプレーはフロンターレに3つ目の星を置き土産とした。

これを男気と言わずなんという。これが漢でなければなんという。まさに男の中の男。
僕らは新井章太いを3つ目の星と共に永遠に忘れることはないだろう。

この試合後の彼のインタビューは、まさに新井章太すべてを物語っている。これが新井章太という文章なので是非まだの方は読んで欲しい。

── 試合を振り返って

PKの5本目は止めなきゃいけない状況だったが、相手としては決めたら優勝というプレッシャーがあったと思う。
それならこちらが有利だと思っていた。相手がどちらに蹴るかまったくわからなかったが、それまでのPKでタイミングが合っていたので、あとは高さやコースがうまく合えばという感じだった。
いい感じにボールが見えていた。6本目はギリギリまでボールを見て、駆け引きをして揺さぶりをかけて、うまく自分のところに入ってきた。キャッチして立ち上がった瞬間、みんなが駆け寄ってくるのが見えたので、逆にみんなをかわしてやろうと思った

ラグビーの映像をずっと観ていたので、たまには目立ってやろうとトライをしに行った。今年のルヴァンカップは全試合出ていて、自分たちでチャンスをつかんだので、勝たなきゃいけないじゃなくて、勝ちたいって思おうとみんなに伝えた。
決勝で難しい試合になったが、最後まで諦めなかったことが結果につながった。10人になって、3点目を取られたら、それは絶対落ち込むと思う。
でも、気持ちを強く保たないと最後までズルズル行ってしまう。さらに4点目を取られたりするような試合には絶対したくなかったので、みんなに声をかけて鼓舞した。
点を取られたGKがすぐに切り替えて声をかけるのが難しいが、そんなことも言ってられない状況だった。これは自分の役割だと思った。
気持ちの部分では常に意識を高く持ちながらプレーできた。フロンターレはこれまでカップ戦で勝てていなかったが、毎回メンバーは違っていたわけだし、何よりリーグ戦のタイトルを2つ獲ったという経験や自信がある。それが大きかったかなと。
10人になって追いついてからは、とにかくしのごうと思っていた。
PK戦になったが、個人的には楽しみだった。やってやろうという感じ。先にク ソンユン選手がPKを止めて、劣勢になったことで逆に開き直って、もうここから止めるしかないと思っていた。後ろにもサポーターがいてくれたし、メンタル的には安定していた

新井章太@川崎フロンターレ公式よりインタビュー全文

ハイライト動画


フロンターレ公式のハイライトは是非見てほしい

苦労人新井章太が報われた日

「おれ、このままで終わってしまうのかな」

新井章太のサッカー人生は、こんな思いがつきまとっていたのかもしれない。
この言葉は大学時代にサッカー人生について思ったことだそうだ。

この辺りは2013年のフロンターレピックアッププレイヤーで読めるので是非見て欲しい。

ピックアッププレイヤー:新井章太

新井章太は2011年、J2の東京ヴェルディに所属するも出番なく戦力外へ。
そして2013年、トライアウトからフロンターレに入団した苦労人新井章太。
正GKの座を掴んだかに見えた2015年シーズンだったが、翌年チョン・ソンリョンの加入により、再び控えへ。

それでも新井章太は、常に準備を怠らず、試合中はウォーミングアップゾーンからチームを鼓舞し、ソンリョンの怪我等で突然の出番があってもぬかりなくGKを努めた。
時には顔面を骨折し、時には脳震盪を起こし、それでもゴールを守ろうとする気概は漢と呼ばず何と呼ぶのだ。

2016年には家庭も持った。この辺りのエピソードも漢エピソード満開なので調べてみて欲しい。
ちなみに婚姻届の保証人は大久保嘉人。
この二人のエピソードも色々泣ける。

毎日考え、毎日泣いたという移籍の決意

今年のリーグ戦後半、出番が増えたことが、移籍の決断考えた彼の背中を押したそうだ。
そりゃそうだ。これだけ良いGKなのだ。
寂しいものはあるけれど、来年はJ2を見る楽しみも増えた。
田坂もいるし、他にも千葉へ合流するかもしれない。

そして近い将来、千葉をJ1に昇格させ、等々力で相まみえる事を楽しみにしようじゃないか。

ありがとう新井章太。がんばれショータ。

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